新興モデルガンメーカー『エム・アイ・イー総研 アクション事業部』によるモデルガン第一弾「リバティ・チーフ」です。
経営コンサルティングを本業とするエム・アイ・イー総研のCEOの松岡誠二氏が、強いモデルガン愛から初めてモデルアップしたこの製品は、日本の銃器メーカーがかつてアメリカで販売していた『LIBERTY CHIEF .38special』という実銃が元になっています。
新規メーカー参入が殆どなくなってしまったモデルガン業界を盛り上げたい、そしてMADE IN JAPANの製品の魅力をもっと世に伝えたいという松岡氏の熱い想いから、この「リバティ・チーフ」は送り出されました。
北米在住の銃器コレクターの協力の元、ロットが異なる複数のリバティチーフ実銃を入手し研究と採寸を行ったうえで、提携する町工場と共同で可能な限りリアルで完成度の高いモデルガン再現を目指して製作されました。
また、モデルガンとして内部構造を設計するにあたり、モデルガンメーカーとして強い実績のあるハートフォード社の技術協力も得たことで、新興メーカーとは侮れない充分な動作信頼性を確保することにも成功しています。
ヘビーウェイト樹脂を使用して実銃の質感をリアルに再現するのみならず、シングル/ダブルアクション射撃、シリンダーのスイングアウトなどの動作面もガタつきなく快調な設計になっています。
今後も、トイガンとしては世に出ていないような様々な銃を製品化していくということで、期待せざるを得ない注目メーカーです。
実銃のリバティチーフは、現在でも猟銃の製造を手掛けている日本のミロク製作所が、1962年から1968年までアメリカで販売していた.38口径リボルバーです。
コルト社の「ディテクティブスペシャル」とS&W社の「M36チーフスペシャル」を掛け合わせたような外観になっており、実際にラッチの構造やサイドプレートの仕様はコルトの影響が強い一方で、内部のメカニズムは当時評判の良いS&Wを参考にしたタイプとなっています。
また、本家チーフスペシャルでは装弾数5発のところ、リバティチーフは6発のシリンダーになっています。
S&W社のリボルバーが高級路線の製品となっている一方、リバティチーフは一般大衆向けの製品という位置付けになっており、当時の価格でM36チーフスペシャルが70ドル代のところリバティチーフは50ドル代で販売されていました。
さらに、販売期間自体は短いものの、アップデートがこまめに行われており様々なバージョンが存在するというのも特徴で、日本のメーカーらしい繊細さが表れているともいえます。
銃身長の異なるモデルや、競技向けにリアサイトを調整可能にしたモデルなど、数々のバリエーションが登場したものの、商業的に成功したとは言い難く、基本モデル以外はほとんど流通することなく姿を消しました。
生産終了となるまでおよそ三万挺が出荷されたと云われていますが、現存している個体は非常に少なく、本場アメリカでも現物どころか情報すらほとんど得られない稀な銃となっています。
日本製ながら完全にアメリカ市場向けの製品となっており、銃規制のある戦後日本の一般市民はもちろん警察にも供給されたことはありませんが、本場アメリカでも情報が少なすぎるゆえに「戦後の日本産リボルバー」というイメージだけが先行し、日本映画に登場したリボルバー拳銃が「リバティチーフ」だと情報サイトに誤解される例がしばしばあります。
実際のところ映画で使われるプロップガンは市販されている国産エアガンやモデルガンが使われるため、トイガン化もされていないリバティチーフが登場することはほぼ有り得ないことで、その誤解を受けた銃の正体はニューナンブM60やディテクティブスペシャル、コルトローマンなどのトイガンとなっています。